離婚後の共同子育て――子どものしあわせのために』

エリザベス・セイアー、ジェフリー・ツィンマーマン[著]/青木 聡[訳]

1,995円(税込)

ISBN978-4-434-14586-5 C0011
離婚後の共同子育て――子どものしあわせのために

別居、離婚、再婚……片親疎外
別れた両親が協力して子育てを続けるための具体的なガイドライン


離婚係争中の親や離婚後の面会交流に悩んでいる親たちが、子どものしあわせを第一に考えて、離婚後も協力して子育てに取り組むにはどうしたらいいのでしょう? 本書は、わが国では法律的に義務づけられていませんが、欧米では義務づけられている、離婚後の共同子育ての基本的な考え方が非常にわかりやすく示されています。きわめて具体的なガイドラインが提示されているので、争いを乗り越えて別居親と子どもの「日常的な交流(子育て時間)」を続けるためのマニュアルとして利用できます。

わが国では2008年だけで実に約24万5千人もの子どもが両親の離婚に巻き込まれています。そして日本は離婚後の単独親権制度を採用しているため、別居時ないし離婚時に両親が子どもを奪い合って争うことが珍しくありません。最近では、離婚時の子どもの奪い合いは次第に熾烈化していると言われおり、解決の糸口が見出せないまま、ますます深刻な社会問題となりつつあります。
欧米では、子どもの幸せのため、離婚後の親子交流が大切にされています。それは、離婚に関するたくさんの研究を通して、両親が高葛藤状態であっても、子どもを二人の争いに巻き込まず、離婚後も両親それぞれが子どもと「日常的な交流(子育て時間)」を継続し、親役割を担い続けることが、子どもの健全な成長を育むという結果が蓄積されてきたからです。逆に、両親の争いにさらし続けること(親役割の機能不全)が、子どもの精神発達に悪影響を与える最大の危険因子であることも実証されています。
こうした研究成果に基づいて離婚後の「共同子育て」が支援されているのです。とりわけ、離婚後の共同子育てプラン作成や、離婚後の共同子育てに関する親教育プラグラムは重視されています。アメリカでは、離婚時に共同子育てプランの作成や親教育プログラムの受講を義務づけているほどです。
ところが残念なことに、日本ではこうした取り組みはまったく行われていないと言っても過言ではありません。そのため、身勝手な親の犠牲になり、不幸なことに、片方の親を知らない/片方の親と会えないで育つ子どもが増えています。日本でも国際的な常識に倣って、離婚後の共同子育て制度を導入するか、少なくとも離婚時に養育費の支払いと面会交流の詳細に関する取り決めを義務づける法改正(不履行の際の強制執行手続きあり)を行うべきだと思います。
〔本書の主な内容〕
第一部 争いと子育て:難しい組み合わせ
■争い依存症ではありませんか?■争いと子ども■争いではなく子どもを優先する■争いの解決■共同子育てに取り組む関係性を築く
第二部 共同子育てのガイドライン
■実効性のある子育てプラン■受け渡し■しつけ■諸活動や特別なイベント■新しい関係、過去の問題■片親疎外■ 健全な親、健全な子ども
© www.kosmos-lby.com