時間の終焉――J・クリシュナムルティ&デヴィッド・ボーム対話集』

J・クリシュナムルティ[著]/渡辺充[訳]

2,415円(税込)

ISBN978-4-434-15395-2 C0011
時間の終焉

著名な理論物理学者と稀有の覚者が、人類の未来について、英知を傾けて行った十三回に及ぶ長大な対話録

本書の冒頭で、「人類は進路を間違えたのだろうか?」とクリシュナムルティが問い、それに対して「人間は五、六千年ほど前、他人から略奪したり、彼らを奴隷にしたりできるようになり始め、その後はもっぱら搾取と略奪に明け暮れてきた」とボームが応えている。
こうして二人は、心理的葛藤の根源、思考の問題、自己中心的行動パターンの打破、精神の浄化、存在の〈基底〉、洞察と脳細胞の変容、死の意味、洞察の伝達、老化の防止、宇宙の秩序、断片化された人生から生の全体性をいかにして回復させるべきかへと話し及んでいる。

人類の存亡に関わる、洞察に満ちた探究の試み

ある晩、世界のその地方の不思議な静寂の中で、ふくろうのホーホーという鳴き声によっても破られない沈黙とともに彼が目を覚ますと、何かまったく異なった新しいものがあることに気づいた。その運動はあらゆるエネルギーの根源に達した。これは、けっして恐怖や切望、絶対的安心へのかたくなな願望に由来する人間精神の投影物である神、最高原理、ブラフマンと混同したり、あるいはその種のものと見なされるべきではない。それは、そのいずれでもない。願望はおそらくそれに到達できないであろう。言葉はそれを測ることはできない。いわんや、思考はそのまわりに巻き付くことはできない。いかなる確信をもって、それがすべてのエネルギーの根源だとあなたは言うのか、と人は尋ねるかもしれない。これに対してはただ、事実そうなのだと、まったき謙虚さをもって答えうるだけである。
毎晩彼は、この絶対者の感覚とともに目覚めた。それは、静止的で固定した、不動のものではない。人間にとっての無量の全宇宙がその中にある。これが究極のもの、始まりであり、終りであり、そして絶対なるものである。あるのはただ、信じがたい広大さと、途方もない美だけである。
J・クリシュナムルティ
《本書の内容》
第1章 心理的な葛藤の根源
第2章 精神から時間の蓄積物を拭い取る
第3章 なぜ人間は思考を最重要視するようになったのか?
第4章 自己中心的な活動パターンの打破
第5章 存在の基底と人間の精神
第6章 洞察は脳細胞に変容をもたらすことができるか?
第7章 死にはほとんど意味がない
第8章 他の人々の中に洞察を喚起させることはできるのか?
第9章 老化と脳細胞
第10章 コスモスの秩序
第11章 "心理的"知識の終焉
第12章 宇宙における精神
第13章 個人的な問題を解決し、断片化を終わらせることは可能か?
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