学校空間の研究――もう一つの学校改革をめざして』

学校空間研究者グループ[編著]

2,310円(税込)

ISBN978-4-434-18958-6 C0037
学校空間の研究――もう一つの学校改革をめざして

教育学、教育心理学、現象学からの心地よい学校空間創造への提言

これまでの学校教育改革論議は、教科課程・カリキュラム論を始めとするソフト面からのアプローチが大半を占めている。これに対して本書は、校舎・校庭を含む学校空間のありかたというハード面に注目し、学校空間そのものに焦点を当てたものである。

これまで、新校舎を建てたり、改築したりする際に、学校行政畑と建築家との間での検討は行われても、教育学者からのヒヤリング・相談はあまり行われてこなかった。本研究は、学校空間のあり方について、教育学、教育心理学、教育社会学、現象学、環境教育論などの立場から、学校空間の改善に示唆を提供することを願ってなされた。学校空間の在り方について、主に学校長や教育委員会などの教育行政当事者に、また、学校建築を手掛ける建築家に、そして教育現場の教員に、より教育学的、教育心理学的、かつ現象学的な配慮を促すと共に、学校教育、なかんずくその空間の在り方に関心を持つ教育関係者や保護者、一般の人々に示唆を与えることになれば幸いである。

(「はじめに」より)

《第I部 理論編》
■ J.J. ルソーの教育環境思想■ F. フレーベルの教育環境思想■ R. オーウエンの教育環境思想■有機的学校空間の思想─シユタイナー校の学校空間─■発達心理学的観点から観た学校空間■心理学的場理論と学校空間■イヤシロチ論から見た学校の空間■環世界論(Umwelt-theorie)と学校空間■割れ窓理論と学校マネジメント■ハインリッヒの法則と学校リスクマネジメント■フロー体験と教育の再生■身体知としてのアフオーダンスと学校空間論■生きられる空間─空間を考えるための方法論的観点─■学校空間における寝る/ 寝転がれる場所を作る意味─身体ワークシヨツプ形式での授業の経験を通して─■教育空間としての茶室─野生の数学をめざして─■人間形成の芸術教育学─自己創造の旅の地図としてのアート─

《第II部 歴史編》
A. 日本 ■綜芸種智院■閑谷学校■咸宜園■開智学校■自由学園校舎・明日館■玉川学園■西村伊作によるコテージ風教育学習空間の建築設計■学校空間に関する一考察─教育史学的立場から─
B. 海外 ■アボツホルム校■森の中の学校 (1) タゴール学園 (2) クリシュナムルティの学園■奥野庄太郎『英米小学教育の実際附世界一周紀行』(1923 年) を読んで

《第III部 実践編》
■学校図書館■学校ビオトープ■学校の芝生■学校の中の森■学校の景観■野外衛星教室(satellite classroom)のすすめ■学校における和室空間■木造校舎■魅力ある校庭の創造■学校トイレの美化■少子化に伴う学校空間の多様活用■学校におけるオープン・スペース■エコスクール■学校の防災化■学校における彫像、絵画、記念碑、記念樹 ■八王子セミナーハウス■「秘密基地」と学校空間─子ども文化論の視点から─■子どもの空間体験―秘密基地を作ること、秘密基地に生きること─

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