古事記と王権の呪術

古川順弘[著]

定価(本体1,600円+税)

ISBN978-4-434-21288-8 C0014

古事記と王権の呪術

日本最古の書を「呪術」をキーワードに読み解き、
神話に秘められた古代信仰と王権祭祀、
律令国家の連環を探り、
日本の「原像」にアプローチする

『古事記』に描かれた
古代呪法と祭祀の世界を照射する!

《目次より》

● はじめに―古代呪術の宝庫としての『古事記』

● 柱を立てる―天の御柱をめぐって ● 身をすすぐ―呪法としての禊

● 肉を捧げる―動物供犠をめぐって ● たまを鎮める―鎮魂の秘儀の深層

● はらう―罪・穢れをあがなう ● ヒレを振る―巫女たちの呪い

● 火を切る―継承の呪術 ● 珠を操る―隼人の呪力 ● 土器を作る―土の呪法

● 古代呪術と王権祭祀―むすびに代えて

....『古事記』には、古来、日本人が実践してきた多様な呪術、あるいはそれを基盤に成立した祭祀が描写されている。 それは、『古事記』にやや遅れて成立した『日本書紀』についても同様である。
だが、『古事記』や『日本書紀』に描き出された古代呪術を深く読み解こうとしてゆくと、それらを、古代人のコスモロジーに密着した素朴な「まじない」と解し、いたずらにロマンを抱こうとする志向に、抵抗をおぼえるようになる。
そうした呪術というのは、たとえば「禊(みそぎ)」であり、たとえば「祓(はらえ)」である。
もっと言えば、それらは、ある明確な意図をもって神話に記述されているのではないかとも思えてくるのである。具体的に言うと、朝廷によって編纂された神話に描かれた主要な呪術は、じつは、直接の目的とはしていないようにみえながら、王権祭祀の醸成と伝承という役割を担わされていたのではないか――という考えが浮かんでくるのである。
本書は、そのような観点から、おもに『古事記』の記述を例に挙げながら、神話と、古代呪術と、王権祭祀との関連に対する考察を、試みたものである。(「はじめに」より


【著者プロフィール】

古川順弘(ふるかわ・のぶひろ)

1970 年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。出版社勤務をへてフリーランスの編集者・ライターに。宗教・歴史分野を中心に、書籍・雑誌の編集・執筆を行う。
著書に『神社に秘められた日本史の謎』(監修=新谷尚紀/洋泉社歴史新書)《3万5000部突破》、『地図とあらすじで歩く「古事記」』(新人物文庫)、『ふしぎで意外なキリスト教』『図解ふしぎで意外な神道』(共著、学研パブリッシング)、『仏教詳解』(共著、学研パブリッシング)、訳書にC.S. ノット『回想のグルジェフ』(コスモス・ライブラリー)などがある。


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