はじめてのクリシュナムルティ ― 入門者のためのアンソロジー ―』

J・クリシュナムルティ[著]、吉田利子+正田大観[共訳]

定価(本体1,900円+税)

ISBN978-4-434-26614-0 C0011

はじめてのクリシュナムルティ ― 入門者のためのアンソロジー ―

危機に瀕している人類に向かって施された、
世界教師クリシュナムルティの“心の処方箋”

クリシュナムルティを紹介する最高の道はクリシュナムルティ自身──その著書、ビデオ、音声記録──であり、解説者や評論家ではない。この考えのもとに、本書は作られている。
書名が示すとおり、本書は、まだ彼の教えを知らないひとたちを対象にしている。誰もがぶつかる日々の暮らしの問題、そのような問題へのクリシュナムルティ独自の取り組み、そして生と聖なるものの時間を超えた彼のビジョン、それが、このアンソロジーの選択基準となっている。
本書は、クリシュナムルティがメッセージを発信するために用いた、さまざまなジャンル──講話、質疑応答、著作、日記、口述筆記、書簡、対話と討論──をもとに構成されている。

【本書の内容】

Ⅰ 講話

 ◎思考は恐怖を生む ◎自由、関係性、死
 ◎自己を知ることと瞑想 ◎悲しみの終わり

Ⅱ 質疑応答

Ⅲ 著作

 ◎問題と逃げ道 ◎強迫觀念 ◎なぜ、この死の悲しみがあるのか?
 ◎安定 ◎怒り ◎条件づけ ◎自尊感情 ◎精神の嵐

Ⅳ 日記、口述筆記、書簡

 ◎生きとし生けるものへの共感 ◎人類の未来とは何か?
 ◎自己の働きについての洞察 ◎偉大なる聖性の祝福

Ⅴ 対話と討論

 ◎神は存在するか? ◎苦しみ ◎宗教的な人生 ◎真の否定 ◎悟り

おわかりでしょうが、革命は──フランス革命、ロシア革命、共産主義革命は──「こうあるべき」というイデオロギーのもとで起こされたものです。そして、何百万もの人々を殺戮したあと、彼らは人々がイデオロギーにうんざりしていることに気づきました。ですから、みなさんはもう、イデオロギーの信奉者ではなく、指導者でもありません。みなさんにはもう、あれをしろ、これをしろ、と言う誰かはいないのです。みなさんはいま、独りで、自分自身で世界と向き合っており、行動しなければなりません。ですから、みなさんの問題はとてつもなく大きく、恐ろしいのです。みなさんは人間として、独りで、誰のどんな支えもなく、問題を明晰に考え抜き、そしてどんな混乱もなしに行動して、広大な観念の砂漠のなかのオアシスにならなければなりません。オアシスが何か、ご存じですね。それは、困惑と砂しかない広大な砂漠のなかで、木立と水がある小さな牧草地です。いまの時代には、わたしたちの一人ひとりがそうならなければならないのです──オアシス、それが、わたしたちのいるところです──つまり、わたしたちの一人ひとりが自由で、明晰で、混乱なくあり、個人的な傾向や気質に従わずに、環境に強いられることもなく、行動できるように、です。(インドでの1967 年の講話より)

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