コラム〜編集日記〜

第14回


前回は昨年暮れに書かせていただきましたが、それからあっという間に3ヶ月が経ちました。この間、予定通り『カール・ロジャーズ』(ブライアン・ソーン著/諸富 祥彦監訳/上嶋洋一ほか訳)と『グルジェフを求めて』(W・P・パターソン著/古川順弘訳)を出すことができました。


さらに『四つの約束:コンパニオン・ブック』(大野龍一訳)を緊急出版することができました。これはアメリカでベストセラーとなった『四つの約束』のより深い理解への手引きと具体的実践方法を著者ドン・ミゲル・ルイス自身が提示したもので、他に著者と読者のQ&Aや読者の「実践報告」を収めた、とてもユニークな「生き方実践マニュアル」です。


困難な時代、自由に力強く、幸福に生きるにはどうすればいいのか?家庭、職場、友人関係の悩みをどう解決すればいいのか?様々な問題にルイスは懇切丁寧に答えています。


実際、コロラドで親や教師と「四つの約束」を分かちあうプログラムがスタートしたとのことで、特定の宗教・思想・信条を超えて適用可能なこの「約束」の共鳴者はこれからますます増えていくことでしょう。


また、4月初旬には『白い炎−−クリシュナムルティ初期トーク集』(大野編訳)を出す予定です。これは、これまであまり紹介されることのなかったクリシュナムルティの初期のトークをいくつか選んで紹介し、あわせて「クリシュナムルティの言葉」を付録とし、さらにクリシュナムルティを生んだインドと彼の関係を改めて考えるべく、やや長い「あとがき」を付けたものです。混迷をきわめる現代社会で正気に生きるためのヒントをつかんでいただければと思います。


[内容]
初期トーク:
  • 〈世界教師〉の意味
  • 思想とその伝わり方
  • 個性の価値
  • 霊性──人生の正しい基礎
  • 統合的人間像
  • 白い炎
  • 奉仕の精神
  • 〈星の教団〉の目的
  • 消去の過程
  • 凡庸と非凡
  • インドにおける新しい教育の可能性
  • 調和した生をめざして
  • 永遠なるものの中に生きよ
  • たゆみなき探求の精神
  • 付録:クリシュナムルティの言葉
  • クリシュナムルティとインド──あとがきに代えて


これ以降の刊行予定は以下のとおりです。

(1)『病いとこころ−−からだの症状と対話する』(アルバート・クラインヒーダー著/青木聡訳)

ユング派の心理療法家で、ロサンジェルス・ユング研究所元所長である著者は、さまざまな病気に苦しんだ経験や心理療法の事例から、症状の背景にある元型的な物語を見抜き、そのイメージの中に深く入っていくことを提唱する。


自己の全体性を目指す能動的想像の実際。



[内容]
猫が死んだ日/こころの現実/庭の草取り/癒しの奇跡/魂を生きる/車椅子/スピリット・ガイド/胸の痛み/症状の背景にあるイメージ/もしありのままの自分を好きだったら?/物語について/力に関すること/再び力に関すること/戦慄と恍惚/血だらけの口/不安の症状/発疹/問題なのか、力なのか?/筋書を変化させよう/そして闇の後に

(2)『真気の入れ方・邪気の抜き方』(本宮輝薫著)

著者の本宮さんはトランスパーソナル学会常任理事で、本書は「気」についての科学的アプローチに基づいた画期的な解説書です。とりわけ、とかく軽視されがちな治療者あるいは施術者自身の健康への配慮を重視している点で、きわめて重要な意義を持っていると思われますので、関係者の方々にぜひお読みいただきたいと思っています。


第1部 予備的考察:
  • 癒しの原理−−基本的生命観
  • 東洋医学的病因論
  • 病気発生のメカニズム−−東洋医学的見地から
  • 虚実補瀉についての一般的説明と疑問
第2部 新しい気の技法と考え方:
  • 虚実についての新しい考え方
  • 補瀉についての新しい考え方
  • 新たな診断法について
  • 実際の補瀉のやり方
  • 気についての誤解と理解

(3)『ヨブ記』(鏡リュウジ解説/青木聡訳)

これはトマス・ムーアの「序文」が付されたきわめて興味深い本で、心理占星術研究家としてあまりにも有名な鏡さんが青木さんと話し合って選んでくれたものです。有名な「ヨブ記」が現代人にとって持つ意義を、ムーアが拡張高く、かつ、わかりやすく解説してくれており、多くの方々に読んでいただきたいと思っています。
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