コラム〜編集日記〜

第19回


ご無沙汰しております。暑かった夏もようやく過ぎ去ろうとしていますが、いかがお過ごしでしょうか? 小生は、2階の事務所のベランダ(防災上の理由でかなり広く作られている)にやって来るノラネコ(黒の兄弟と白の牝ネコ)に餌をやりながらがんばっています。


前回はJ.クリシュナムルティ著/大野龍一訳『自由と反逆――クリシュナムルティ・トーク集』を2月に、また盛鶴延著『新装版 気功革命』を4月に刊行したこと、さらに以下の刊行予定をお知らせいたしました。

(1) 向後善之著『わかるカウンセリング――自己心理学をベースとした統合的カウンセリング』

(2) 佐藤美知子著『瞑想から荒行へ』

(3) デイヴィッド・ブレイジャー著/大澤美枝子+木田満里代共訳『禅セラピー−−仏教から心理療法へ』

(4) ドン・ミゲル・ルイス著/大野龍一訳『知識の声』(仮題)

(5) ニール・フリードマン著/日笠摩子訳『フォーカシングとともに(2)』

(6) デイビッド・キセイン+シドニー・ブロック著/青木聡+新井信子訳『家族中心グリーフ・セラピー』(仮題)

(7) 大野純一著編訳『片隅からの自由――クリシュナムルティを読み説く』

以上のうち、(1) (2)(3)をすでに刊行し、(4)は『パラダイス・リゲイン−−トルテックの知恵の書』として、(5)は『フォーカシングとともに(2):フォーカシングと心理療法』として、間もなく(9月25〜10月初旬)刊行予定です。(6)は『家族指向グリーフ・セラピー−−がん患者の家族をサポートする緩和ケア』として、10月中に刊行いたします。


小社の力ではこれが精一杯で、(6)を刊行したら一休みして、(7)をクリスマス前頃に出せればと思っております。


刊行予定のものについて、それぞれ内容/目次などを紹介をさせていただきます。 なお、ルイスの本はこれで5册目です。(7)については次回にお知らせいたします。


ドン・ミゲル・ルイス著/大野龍一訳 『パラダイス・リゲイン−−トルテックの知恵の書』

(234ページ/定価(本体1500円+税))


現代世界の混乱、対立、紛争、悲惨の真因は何か?
私たちはなぜ自ら不幸と苦しみを人生に持ち込んでしまうか?
それは、無意識に行なう自己虐待にある。
あなたの頭の中の「知識の声」に注意を向けよ!
それは虚偽であり、正義や道徳を偽装した堕天使の偽りのメッセージである。
これまで語られることのなかった自伝的エピソードも豊かにまじえ、
真の自由を取り戻し、失われたパラダイス奪還の方法を説く、
著者渾身のメッセージ。


<本書の内容>
第 1 章 アダムとイブ−−異なった見地から見たその物語
第 2 章 祖父とのおしゃべり−−あるシンプルな真理の発見
第 3 章 私たちが不完全であるという嘘−−子供時代の思い出の再来
第 4 章 砂漠の一夜−−無限なるものとの出会い
第 5 章 ストーリーテラー−−ストーリーの登場人物を調べる
第 6 章 内なる平和−−二つのルールで声を手なずける
第 7 章 感情はリアルである−−知識の声はリアルではない
第 8 章 コモンセンスと盲信−−私たちの誓約と自由意志を取り戻す
第 9 章 ストーリーテラーの変容−ーお気に入りのツールとしての四つの約束
第10章 自分のストーリーを愛をもって書く−−進行中のロマンスとしての人生
第11章 霊的な目を開く−−私たちを取り囲む愛のリアリティ
第12章 生命の木−−ストーリーは振り出しに


ニール・フリードマン著/日笠摩子訳

『フォーカシングとともに(2):フォーカシングと心理療法』

すべての心理療法の基本である体験的傾聴、フォーカシングを促す柔軟な工夫、そして、多様な心理療法技法との組み合わせまで、フリードマンの熟練の名人芸の真髄を披露。


豊富な逐語記録を通して、セラピーの現場を臨場感あふれる形で報告する。


大胆にして繊細:
フリードマンのフォーカシング指向体験療法は、フォーカシングと傾聴を基本としつつ、自己開示・ゲシュタルト・ハコミ・表現的方法からおしゃべりまで、組み合わせる。


<本書の主な内容>
第3部 フォーカシングと心理療法
◎フォーカシング指向体験心理療法 
◎何についてのことかをまったく語らなかった男
◎体験的傾聴
◎フォーカシング指向体験療法、私のやり方 (1982)
◎ジェンドリンとアンジャル:フォーカシングと全体論的洞察
◎自己治療のためのフォーカシングの活用
◎フォーカシング指向ヘミングウェイ風療法
◎書評:種々のボディ・セラピー
◎言語的フォーカシング療法へのフォーカシングの統合 (1996)
◎フォーカシングとそれ以外の身体中心的介入の統合


デイビッド・キセイン+シドニー・ブロック著/青木 聡+新井信子訳

『家族指向グリーフセラピー−−がん患者の家族をサポートする緩和ケア』

緩和ケア/悲嘆ケアに携わるすべての人に
家族指向グリーフセラピーは、末期患者の生活の質(Quality of Life)を高めるために家族機能の改善を試みるアプローチであると同時に、患者が亡くなった後も継続的に遺族をサポートしていく画期的な緩和ケア/悲嘆ケア・サービスである。 本書では、世界的に評価の高い家族指向グリーフセラピーの実際が詳しく紹介されている。


<本書の主な内容>
◎家族ケアと家族の悲嘆
◎家族機能の類型
◎家族指向グリーフセラピーの実際
◎家族指向グリーフセラピーで浮上する一般的なテーマ
◎セラピーの典型例
◎家族指向グリーフセラピー適用上の課題
◎特定のライフイベントが家族に与える影響
◎倫理的な側面
◎家族指向グリーフセラピーの臨床的実用性
◎付録:家族関係指標


このセラピーは深刻な病気の物語をめぐって展開し、背景の文脈である家族の物語に取り組んでいく。セラピストはそうした語りの中に示される家族機能の特徴を引き出し、その課題に対する自覚を高めるように援助していく。 …… 家族指向グリーフセラピーの際立った利点は、心理社会的ケアと悲嘆ケアを継ぎ目のない一つのプロセスとして統合できることである。患者の亡くなる前と患者が亡くなった後のケアに分断された人工的な従来のケアとは違い、このモデルでは悲嘆ケアが緩和ケアの最中に始まるのである! (本文より)

■著者プロフィール

デイビッド・キセイン(David Kissane)
1974年、オーストラリア・メルボルン大学医学部卒業。1991年、モナッシュ大学精神医学講座修士課程修了。1995年、メルボルン大学から医学博士号授与。専門はコンサルテーション・リエゾン精神医学。サイコオンコロジーおよび緩和ケアの第一人者として世界的に知られている。モナッシュ大学精神医学講座で訓練を受ける前は、8年間にわたって一般開業医。モナッシュ大学精神医学講座講師(1992−1993年)、上級講師(1994−1995年)。1996−2003年、メルボルン大学緩和医療科教授/緩和ケアセンター所長。2000−2003年、国際サイコオンコロジー学会会長。2003年より、アメリカ・ニューヨークにあるメモリアル・スローン−ケタリングがんセンターの精神医学/行動科学部門の主任。


シドニー・ブロック(Sidney Bloch)
1964年、南アフリカ・ケープタウン大学医学部卒業。1972年、メルボルン大学から医学博士号および臨床心理学博士号授与。専門は医療倫理、家族療法、サイコオンコロジー。11冊の著書がある。1973−1975年、スタンフォード大学特別研究員。1976−1988年、オックスフォード大学ウォーンフォード病院顧問精神科医および精神医学講座講師。1989−1999年、メルボルン大学精神医学講座上級講師。1999年より、メル ボルン大学緩和ケアセンター教授。1992年から『オーストラリア・ニュージーランド精神医学雑誌』(Royal Australian and New Zealand College of Psychiatrists: RANZCPの学会誌)の編集委員を務めている。現在は編集委員長。
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